2025/08/15

エンジニアのためのコミュニケーション実践!


コミュニケーションとはなにか

この記事ではコミュニケーションを「自分の理解を、相手に合わせてわかりやすく届ける行為」と定義します。 目的は、相手の意思決定を 早く・正確に・気持ちよく 進めること。

ポイントは「伝える側ではなく、受け手に届いてはじめて成立」するということ。相手・状況・手段に応じて、表現や粒度、順序を調整することが実践になります。

コミュニケーションにおいては投げる側が十分に内容を整理し、受け手が理解しやすい方法で伝えることが重要です。


コミュニケーションの原則

わかりやすく届けるための大原則。

  • 結論から話す 先に「結論→理由→具体例→要請」。背景は必要量だけ後ろに寄せる。
  • 背景を一致させる 目的、制約、前提、決定基準(KPI/優先度)を一度そろえる。論点の迷子を防ぐ。
  • 相手の期待を調整する スコープ・品質・期限・責任分担を明確化。やらないことも明言する。
  • 相互確認 「要するに〜という理解で合っていますか?」でループを閉じる。
  • 可視化 図・表・コード・チェックリストで“同じものを見る”。抽象レベルを合わせる。

上記を実践することで、聞き手として情報を整理しながら聞くことができ、話し手との認識の齟齬を減らすことに繋がります。


対面でのコミュニケーション

進め方の基本

  • 開始5分の整地:目的/アジェンダ/終了時の成果物(決定事項・宿題)を確認。
  • ホワイトボーやメモの活用
    • 目的と前提、論点と選択肢、決定とToDoを分けて記載する。
    • 決定理由を1行で添える(後からも納得しやすい)。
  • ラベル付けで誤解防止:事実と解釈と推測を明示的に分ける。
  • ショートループ:10〜15分ごとに「ここまでの合意」を口頭+板書で決定していく。

リモート会議でのコミュニケーション

開始前のチェック

  • 回線・マイク・カメラ・画面共有は1ウインドウ限定
  • 司会・記録係・タイムキーパーをアサイン(兼任可)
  • 共同編集ドキュメント(議事録)を 先に配布して開いた状態 で開始

リモートならではの課題と対策

  • ラグ
    • スクロールや切替はゆっくり。「今からここを拡大します」と予告する
    • 共有対象はウインドウ指定。デスクトップ全体共有は原則避ける
  • 同時発話
    • 挙手 or 司会が名指し
  • 情報の散在
    • 共有リンクは 議事録の先頭 に集約し、チャット転載はURLのみに統一
  • 参加度のばらつき
    • 順番に発言をするなど、「意見なし」も明示して沈黙の合意を避ける

目的を明確にしておく

  • 今日の会議で決めたいことは?
  • 決定者は誰?参加者の役割は?
  • 決定に必要な材料はそろっている?

テキストでのコミュニケーション

メッセージの型(Slack/メール/Issue/PR)

テキストでのコミュニケーションの場合は、同期的なコミュニケーション以上に温度感や表情などの非言語コミュニケーションの要素がなくなるため、伝わりにくくなります。 また、対象によってはテンプレートの活用をすることもあります。

  • 件名/冒頭1行で結論:「【依頼】◯◯のレビュー(8/20まで、30分)」
  • 5つの要素:結論/理由(根拠リンク)/具体(差分・図)/相手にお願い/期限
  • 長文は“段落見出し+箇条書き+図” に分解。1段落は3〜5文が目安。
  • テンプレートから逸脱した場合は理由を書く: 普段書いている内容を省略する場合は理由を書く。

誤解を減らす文の工夫

  • 固有名詞・数値・期限を入れる(「早め」禁止)
  • 主語を明確に(誰がやる?ユーザー?システム?)
  • 禁止:多義語・比喩・行間(必要なら用語集/定義を添付)
  • レビュー前提:重要メッセは投稿前に自分で音読 or 同僚に下書き共有

よくある課題

よくある問題兆候対策
結論が遅い長文の末尾に要点先に結論、残りは折りたたみ/詳細に分離
背景不足「それ何のため?」が出る目的・評価軸・制約を冒頭に3行で
抽象具体のズレ「わかったつもり」図・擬似コード・スクショで同じものを見る
論点増殖脱線と再脱線パーキングロット表で論点を退避
依頼が伝わらない返信が来ない/遅い依頼テンプレ+期限と所要時間を書く
決定が蒸し返される「言った/聞いてない」議事録に決定と理由を1行で、リンク固定

まとめ

  • 目的=相手の意思決定を助けること。 そのために「結論→背景→詳細→依頼→期限」で届ける。
  • 場面ごとの型(対面/リモート/テキスト)を持ち、可視化と相互確認で早く誤解を潰す。
  • 決定と理由の可視化が未来の自分とチームを守る。

チェックリスト

  • 結論を最初に言ったか
  • 目的・前提・評価軸を合わせたか
  • 依頼の 誰が/何を/いつまで を書いたか
  • 図・表・リンクで“同じもの”を見たか
  • 決定と理由を1行で残したか