コミュニケーションとはなにか
この記事ではコミュニケーションを「自分の理解を、相手に合わせてわかりやすく届ける行為」と定義します。 目的は、相手の意思決定を 早く・正確に・気持ちよく 進めること。
ポイントは「伝える側ではなく、受け手に届いてはじめて成立」するということ。相手・状況・手段に応じて、表現や粒度、順序を調整することが実践になります。
コミュニケーションにおいては投げる側が十分に内容を整理し、受け手が理解しやすい方法で伝えることが重要です。
コミュニケーションの原則
わかりやすく届けるための大原則。
- 結論から話す 先に「結論→理由→具体例→要請」。背景は必要量だけ後ろに寄せる。
- 背景を一致させる 目的、制約、前提、決定基準(KPI/優先度)を一度そろえる。論点の迷子を防ぐ。
- 相手の期待を調整する スコープ・品質・期限・責任分担を明確化。やらないことも明言する。
- 相互確認 「要するに〜という理解で合っていますか?」でループを閉じる。
- 可視化 図・表・コード・チェックリストで“同じものを見る”。抽象レベルを合わせる。
上記を実践することで、聞き手として情報を整理しながら聞くことができ、話し手との認識の齟齬を減らすことに繋がります。
対面でのコミュニケーション
進め方の基本
- 開始5分の整地:目的/アジェンダ/終了時の成果物(決定事項・宿題)を確認。
- ホワイトボーやメモの活用:
- 目的と前提、論点と選択肢、決定とToDoを分けて記載する。
- 決定理由を1行で添える(後からも納得しやすい)。
- ラベル付けで誤解防止:事実と解釈と推測を明示的に分ける。
- ショートループ:10〜15分ごとに「ここまでの合意」を口頭+板書で決定していく。
リモート会議でのコミュニケーション
開始前のチェック
- 回線・マイク・カメラ・画面共有は1ウインドウ限定
- 司会・記録係・タイムキーパーをアサイン(兼任可)
- 共同編集ドキュメント(議事録)を 先に配布して開いた状態 で開始
リモートならではの課題と対策
- ラグ
- スクロールや切替はゆっくり。「今からここを拡大します」と予告する
- 共有対象はウインドウ指定。デスクトップ全体共有は原則避ける
- 同時発話
- 挙手 or 司会が名指し
- 情報の散在
- 共有リンクは 議事録の先頭 に集約し、チャット転載はURLのみに統一
- 参加度のばらつき
- 順番に発言をするなど、「意見なし」も明示して沈黙の合意を避ける
目的を明確にしておく
- 今日の会議で決めたいことは?
- 決定者は誰?参加者の役割は?
- 決定に必要な材料はそろっている?
テキストでのコミュニケーション
メッセージの型(Slack/メール/Issue/PR)
テキストでのコミュニケーションの場合は、同期的なコミュニケーション以上に温度感や表情などの非言語コミュニケーションの要素がなくなるため、伝わりにくくなります。 また、対象によってはテンプレートの活用をすることもあります。
- 件名/冒頭1行で結論:「【依頼】◯◯のレビュー(8/20まで、30分)」
- 5つの要素:結論/理由(根拠リンク)/具体(差分・図)/相手にお願い/期限
- 長文は“段落見出し+箇条書き+図” に分解。1段落は3〜5文が目安。
- テンプレートから逸脱した場合は理由を書く: 普段書いている内容を省略する場合は理由を書く。
誤解を減らす文の工夫
- 固有名詞・数値・期限を入れる(「早め」禁止)
- 主語を明確に(誰がやる?ユーザー?システム?)
- 禁止:多義語・比喩・行間(必要なら用語集/定義を添付)
- レビュー前提:重要メッセは投稿前に自分で音読 or 同僚に下書き共有
よくある課題
よくある問題 | 兆候 | 対策 |
---|---|---|
結論が遅い | 長文の末尾に要点 | 先に結論、残りは折りたたみ/詳細に分離 |
背景不足 | 「それ何のため?」が出る | 目的・評価軸・制約を冒頭に3行で |
抽象具体のズレ | 「わかったつもり」 | 図・擬似コード・スクショで同じものを見る |
論点増殖 | 脱線と再脱線 | パーキングロット表で論点を退避 |
依頼が伝わらない | 返信が来ない/遅い | 依頼テンプレ+期限と所要時間を書く |
決定が蒸し返される | 「言った/聞いてない」 | 議事録に決定と理由を1行で、リンク固定 |
まとめ
- 目的=相手の意思決定を助けること。 そのために「結論→背景→詳細→依頼→期限」で届ける。
- 場面ごとの型(対面/リモート/テキスト)を持ち、可視化と相互確認で早く誤解を潰す。
- 決定と理由の可視化が未来の自分とチームを守る。
チェックリスト
- 結論を最初に言ったか
- 目的・前提・評価軸を合わせたか
- 依頼の 誰が/何を/いつまで を書いたか
- 図・表・リンクで“同じもの”を見たか
- 決定と理由を1行で残したか