2026/02/26

「スタッフエンジニア マネジメントを超えるリーダーシップ」の読書メモ

はじめに

今回は、「スタッフエンジニア マネジメントを超えるリーダーシップ」の読書メモです。

スタッフエンジニア マネジメントを超えるリーダーシップ | 日経BOOKプラス

前置き: 現在の自分の立ち位置の認知

この本を読むにあたっての自分の立ち位置を考えてみます。

  • 組み込み含めてエンジニア歴6年くらい
  • 現在はWebエンジニアとして、フロントエンドからバックエンド両方実装している
  • 最近の仕事はもっぱらAI活用とかになっている
  • 一応CTO室にいたり少人数のリーダーしたりとシニアエンジニア寄りのことはやらせてもらっている
  • やや悲観よりかもしれないが、2026年2月時点で今後のエンジニアの寿命は長くないと実感している

現状のコンフォートゾーンを抜けるには、もう少し視座の高い考え方を知っておいた方がいいなと感じて、この本を手に取りました。

ただ、前提として20代なのもあってキャリア論みたいなものに全く興味が湧かず、ただのオタク心から海外のすごいエンジニアの話を知りたいだけといった感じでした。

本書の概要

前半はスタッフエンジニアに関わる内容で構成され、後半は具体的なエンジニアへのアンケートが書かれているような形式になっており、好きなところから自由に読める構成になっています。

前半部分には以下のような内容が含まれます。

  • スタッフエンジニアの全体像
  • スタッフエンジニアとしての仕事
  • 今いる場所でスタッフエンジニアになる方法
  • 転職して出世する方法

スタッフエンジニアがどういう仕事をするかといった定義から、実際にスタッフエンジニアになるための方法が書かれており、特に会社にそのようなポジションがない場合は転職で出世することに触れている点も特徴的でした。

実際、エンジニア初学者向けの書籍やアドバイスはありふれているんですが、シニアエンジニア以上となると母数自体が少なくほとんど参考になる情報がなかったり、個人ごとに大きくキャリアの方向性が分かれてしまうため、なかなか情報が得られないことが多いと思います。

本書では有名企業のスタッフエンジニアへのインタビューも多く掲載されているため、そういった意味でも貴重な情報源になっていると思います。

スタッフエンジニアとは

大抵の企業では、「シニアエンジニア」という階級があり、通常5 ~ 8 年程度の経験でこの階級に到達しますが、これ以上の階級を用意している会社は少ないです。
多くの会社で、このレベルを超えたエンジニアはマネジメント、つまり管理職へ進む機会が与えられます。

マネジメントへの道ではない、テクニカルリーダシップの道として、シニアエンジニアを超えた階級をまとめて本書の中では「スタッフプラスエンジニア」と呼んでいます。

また、スタッフエンジニアは下記の4タイプに分類することができるとしています。

  • テックリード
    • 与えられたチームを実行に導く。通常は特定のマネージャーと密接に連携する。
  • アーキテクト
    • 重要分野において方向性や質、アプローチに責任を負い、技術的な制約やユーザーのニーズ、組織レベルのリーダーシップに関する知識を組み合わせる
  • ソルバー
    • 任意の複雑な問題を深く掘り下げ、前進する道を切り開く。長期にわたって一つの領域に携わる人もいればホットスポットからホットスポットに飛び回る人もいる
  • 右腕
    • 補佐役として会社幹部の関心を代表し、幹部の能力と権限を借りて、複雑な組織の運営にあたる

スタッフエンジニアの具体的な仕事

スタッフエンジニアは、シニアエンジニアとして上手くこなしてきた仕事の大部分を継続します。

ただし、スタッフエンジニアになるとそれらは副次的な仕事になり、スタッフエンジニアとしての役割を果たす必要があります。

例えば、次に上げるような仕事がスタッフエンジニアの仕事になります。

技術的な方向性の決定

私たち誰もが現状を改善したいと思っているが、皆漠然と何か今よりいいものを望んでいます。

スタッフエンジニアはテクノロジーに特化したパートタイムのプロダクトマネージャーとして考えることができます。

メンターおよびスポンサーとしての役割

一人の英雄よりも、周囲のエンジニアを育成することがよっぽど会社の長期的なコースを変更する可能性が高いです。

スタッフエンジニアは、スポンサーでありながら同時にメンターとして自ら直接メンバーに力を貸して前進を促すことができます。

エンジニアリングの展望を伝える

スタッフエンジニアはプロジェクトやチームよりももっと上のレベルの意思決定の場に参加することを求められます。

たいていの場合、予期せず参加させられることが多いですが、エンジニアリングの状況と展望を伝えることが許され、場合によっては結論を変える力を持ちます。

探索

長期的にみて、企業は探索する方法を学ばなければならなず、あるチームに探索を一任するだけでは心許ないため、信頼できる個人を数人選び、リソースを与え、数ヶ月後に彼らが発見した内容を確認します。

探索は会社が実行する中でも最もやりがいがあり、同時に大きなリスクを持っているため、会社から厚く信頼される必要があり、同時に会社は探索の失敗は担当者の能力不足ではなく、問題の複雑さに原因があると理解する必要があります。

接着剤になる

スタッフエンジニアは、組織の中で接着剤のような役割を果たすことができます。

絶対に必要な仕事ながら、目には見えないタスクをこなしてチームを前進させ、その成果を出荷します。

スタッフエンジニアになるには

プロモーションパケット

聞きなれない単語ですが、プロモーションパケットとは昇進申請に必要な文書を指します。

内容としては、どの個性を優先して発展させるかを書き、あなたを支援する社内スポンサーや人脈を活性化させます。

例えば、下記のようなことがらを書きます。

  • これまでこなしたスタッフプロジェクト(スタッフエンジニアになるための重要なプロジェクト)
  • どのような方法で会社を改善してきたか
  • あなたの仕事を数字にするとどれくらいのインパクトがあるか
  • 誰を指導し、どんな成果をあげたか
  • 社内でどのチームとどのリーダーがあなたの仕事に精通し、支持しているか
  • 自分に足りていない、またはそう評価されている技能、あるいは行動ギャップはあるか

こういった文書を上司を巻き込んで定期的にブラッシュアップすることのすすめが書かれています。

スポンサーを見つける

実際のインパクトと認識されているインパクトのギャップを埋めるために、これまでの仕事の成果を周囲に認めさせるために後押ししてくれるスポンサーを探しましょう

スタッフプロジェクトを達成する

一部のスタッフエンジニアは、スタッフプロジェクト、つまりスタッフエンジニアになるための重要なプロジェクトを成功に導いてスタッフエンジニアの役職を手にした人もいます。

今の会社でスタッフもしくはマネジメントといった役職を望んでいてまだそれが実現できていないなら、スタッフプロジェクトを実行し、その立場に相応しい人物であると認めさせる必要があります

部屋に呼ばれて、そこに留まる

エンジニアの不満の一つに、「重要な決断が下される部屋に入れてもらえない」というものがあります。

部屋に入るためには、有益な何かを持っていて、部屋にはまだそれが存在しておらず、部屋にスポンサーがいる必要があります。

グループのために最適化し、はっきりと簡潔に話し、摩擦を減らし、集中して存在を示し、低レベルのタスクも率先して引き受けましょう。

また、部屋への参加権を獲得し続けることも重要です。

転職する

あなたの長所を最もよく知る会社は今の会社です。しかし、あなたのチームがかなりの上級者のみで構成されている場合など、スタッフエンジニアに相応しいと証明することが難しいケースもあります。

あなたをはるかに高く買う企業を見つけたり、成長の早い企業に転職したり、転職先の企業でスポンサーを見つけることもスタッフエンジニアの近道です。

所感

現在の自分の立ち位置にちょうどいい内容に、ちょうどいいタイミングでいい書籍を読むことができたなといった感じでした。

自分の年齢的にも自分が成果を上げることに集中してしまいがちですが、ひとつ上の視点から俯瞰して、組織全体のために動くことができるようになると、より大きな成果を上げることができるのかなと感じました。

まあ、それも結局生成AIによって前提ごと壊れてしまい、上の視点から全てをAIで作る時代になるのかもしれませんが。

私自身はエンジニアとしての才能はあまりなく、理想のエンジニア像に届く気配もないですが、物事を理解するために言語化することは好きなので、たまたま生成AIが流行っているこの時代にこの仕事をできて幸運だなと思います。エンジニアとして、最後の世代になるかもしれないですが、生成AIのもたらす変化を楽しみながら行く末を見守っていきたいと思います。